《 第1回 10月24日(水) 16:30~18:45 第1会議室 》
- テーマ「聖トマス・アクィナスにおける人生の幸福」
発表者/聖カタリナ大学・短期大学部 学長 ホビノ・サンミゲル
私たちは日常の生活の中で幸せな人生を探し求めています。しかし人生は複雑で、幸せに導くふさわしい道を見つける必要があります。聖トマス・アクィナスは哲学的、倫理的、そして神学的観点から人間の幸せについて深い研究をしていました。トマスの考えに基づき、私たちが幸福に達するためには何をするべきかを考えていきたいと思います。 - テーマ「社会福祉とスピリチュアリティ」
発表者/聖カタリナ大学 講師 村上 佳子
社会福祉専門職は、対象者を疾病や障害、経済状況など生活課題の一部のみに焦点をあてるのではなく、全体としてとらえようとする。しかし、養成教育においてもスピリチュアルについて取り上げることは少ない。この発表では、スピリチュアリティを考慮するケアに関する先行研究から検討したい。 - テーマ「霜山徳爾の死生観」
発表者/聖カタリナ大学 教授 寺尾 寿芳
カトリック信徒でもあった著名な心理療法家、霜山徳爾はみずからの信仰を前景化することなく、人間学的心理学の視点から生および死に対して深く、そして開かれた考察を行った。その際、人間にとって避けられない限界にこそ尊厳の根拠があるとし、弱さに懊悩する読者へ向けて共感的に語りかける。スピリチュアルケアを念頭に、その深い知見に学んでみたい。
《 第2回 11月14日(水) 16:30~18:00 第1会議室 》
- テーマ「『ロゴスの受肉』、『復活』を愛智(=哲学)として問う -使徒的経験から、その根拠へ-」
発表者/聖カタリナ大学 教授 谷 隆一郎
「イエス・キリストとは誰であったか」ということは、使徒たち以来の最も素朴な、しかし根本的な探究であった。そして、教父(教会の師父)たちは長い探究の末に、「イエス・キリストは神であり、かつ人である」(ニカエア信条、三二五年)とか、「神性と人性とのヒュポスタシス的(ペルソナ的)結合」(カルケドン信条、四五一年)といった把握を見出し、言語化していった。
この発表では、そうした教理的表現を尊重しつつも、それらが、そこからはじめて見出される当の使徒的経験(=キリストとの出会い)に遡って、「ロゴス・キリストの受肉」(ヨハネ一・一四)や「復活」、さらには十字架による「贖い」や「救い」といったことをも、すべての人の意志の構造に関わる普遍的な問題として、つまり広義の愛智(=哲学)の問題として、いささか問い披いてゆきたいと思う。 - テーマ「伊予のキリシタン遺物とそれを守った人々」
発表者/聖カタリナ大学短期大学部 准教授 竹田 信恵
伊予に点在するキリシタン遺物は、特に2箇所に集中して見られる。ひとつは旧松山藩および今治藩に属する高縄山系の周辺に、もう一つは大洲藩領内である。本フォーラムでは、大洲藩領内の、満穂地区(現内子町)に遺されているキリシタン遺物を紹介し、それを守った人々の生き方と祈りについて考察する。
《 第3回 1月23日(水) 16:30~18:00 第1会議室 》
- テーマ「『3つのゼロの世界』と3つの巨大(メガ)な(パ)力(ワー)」
発表者/聖カタリナ大学 教授 佐々木 裕子
母国バングラディシュの貧困を大きく軽減した功績によりノーベル平和賞を受賞(2006年)したムハマド・ユヌス氏にはさらに次の挑戦がある。貧困0、失業0、二酸化炭素0の「3つのゼロの世界」を実現させること、世界を変えるための具体策もある。巨大な力を結集させれば、それは叶う。巨大な力の一つ、若者の力に注目し、ユヌス氏の提案をひもといてみる。 - テーマ「共生社会の形成に資するアジアのインクルーシブ教育」
発表者/聖カタリナ大学短期大学部 准教授 遠藤 文子
障害や貧困や就学学習上の困難に起因する「特別な教育的ニーズ( special educational needs) 」をもつ子どもたちを含むすべての子どもたちを効果的かつ包括的に教育することを目的としている「インクルーシブ教育」について、アジアの動向と課題について考察する。
《 第4回 2月20日(水) 16:30~18:45 第1会議室 》
- テーマ「ピーター・L. バーガーの宗教社会学について」
発表者/聖カタリナ大学 准教授 大黒屋 貴稔
『現実の社会的構成』『故郷喪失者たち』等の著作により、知識社会学や近代化論の分野の仕事で知られるバーガーだが、彼は神学者でもあり、宗教社会学の分野でも多くの業績を残した。本報告ではそのいくつかを取り上げ、バーガー宗教社会学の基本的な考え方や枠組みについて明らかにしたい。 - テーマ「ドミニコ会的生活と人間性 ― 聖性の探求についての一考察 ―」
発表者/聖カタリナ大学 教授 宮武 信枝
ドミニコ会元総長ティモシー・ラドクリフが会員に宛てた書簡、同じくドミニコ会士グスタボ・グティエレスの「民衆の神学」を扱った著書、現教皇フランシスコの「民の神学」、「聖性」をもとに、ドミニコ会の生活における人間性と聖性の探求について考察してみたい。 - テーマ「キリスト教を背景とした篤志家の活動と福祉理念との関係について③ ― 明治・大正時代を中心として ―」
発表者/聖カタリナ大学 准教授 釜野 鉄平
明治・大正時代に活躍した篤志家の宗教的背景の多くがキリスト教であることに注目し、昨年度はカトリックとプロテスタントとの福祉実践について比較考察を行った。ここではこれまでの研究で取り上げていないキリスト教徒によってなされた福祉実践を取り上げ、その効果のほか限界や課題について、また今日に引き継がれるべき理念についての考察を行う。